
夜空を彩るランタンの景色で有名なベトナムの世界遺産ホイアンは、実は毎月ロマンチックな夜のイベント「ランタン祭り」を開催しています。
空に浮かぶ無数のランタンに、川面を優しく照らす灯篭の灯り。世界遺産の街ホイアンが月に一度だけ見せる、息をのむほど幻想的な光景が「ホイアンのランタン祭り」です。
ランタン祭りの夜はいつものホイアンの夜とは異なり、旧市街の電灯は消され、代わりに月明かりと無数のランタンやロウソクだけで街が照らし出されます。
古都の美しい街並みが、数千ものランタンの柔らかな光に彩られる様は、まさに夢のようで、まるで時が止まったかのようなノスタルジックな雰囲気が楽しめます。
そんなホイアンのランタン祭りは、満月にあたる旧暦14日の夜に毎月開催されています。
本記事では、ホイアンでランタン祭りが行われる日程はもちろん、絶対に見逃せない見どころ、アクセス方法、そしてお祭りを120%満喫できるダナン発の日帰りツアー情報までをご紹介します。
「ホイアンのランタン祭りに行ってみたいけど、いつ開催されるの?」「何を見ればいいの?」「どうやって楽しむのがおすすめ?」「ダナンから観光できる?」など、気になる疑問が解決する内容になっているので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
ホイアンのランタン祭りは「毎月1回」旧暦14日に開催!

ホイアンのランタン祭りは、なんと毎月1回、旧暦の14日の夜に開催されています。
旧暦の14日は月が最も美しく輝く満月にあたり、ベトナムでは昔から縁起の良い日とされてきました。
ベトナムでは満月が輝く旧暦の14日に先祖を供養して、家の内外にランタンを灯して感謝と幸運を祈る伝統があり、これがランタン祭りの起源とされています。
空に浮かぶ月は丸く輝き、幻想的な夜を演出することがランタン祭りの特徴で、ランタン祭りは「満月祭り」とも呼ばれています。
ランタン祭りの当日は、ホイアンの旧市街の電灯が落とされ、ランタンと月明かりだけが街を照らし出し、まるで時が止まったかのように静かで、そして美しい雰囲気に包まれます。
ランタン祭りは旧暦で行われるため、新暦では開催日が毎年、毎月ことなることが注意点です。
ホイアンのランタン祭りを目的に観光する際は、事前に日程を確認して間違えないようにご注意ください。
2025年のホイアンのランタン祭りの開催予定日は、以下の通りです。
2025年の開催予定日(新暦)
- 1月13日
- 2月11日
- 3月13日
- 4月11日
- 5月11日
- 6月9日
- 7月8日
- 8月7日
- 9月5日
- 10月5日
- 11月3日
- 12月3日
旧暦(太陰暦)は新暦より日数が短く、年によってはうるう年もあるため、毎年日付がずれていきます。
そのため「毎月同じ日ではない」という点に注意し、旅程と重なるかどうかを早めにチェックしておくことがおすすめです。
運よくベトナム旅行中にランタン祭りが開催される場合は、ぜひお祭りの日程にあわせてホイアンを訪れてみてください。
なぜホイアンは「ランタンの街」に?歴史的背景と由来

ホイアンが「ランタンの街」と呼ばれるようになったのは、国際的な交易と信仰の文化が深く関係しています。
16~17世紀のホイアンは、アジアとヨーロッパを結ぶ重要な港町として栄え、日本や中国、ポルトガル、インドなど各国の商人が行き交う国際貿易の拠点となっていました。
中国や日本から紙や絹の提灯がホイアンにもたらされ、あわせて赤いランタンを玄関先に飾ることで邪気を払い幸運を招く、という中国の道教に由来する風習もホイアンの文化として根付きはじめます。
ホイアンには日本人町が存在していたことも影響し、一説では日本の盆提灯などの風情が街並みに加わったとも言われています。
伝わってきた提灯は地元の職人たちの手によってさらに改良され、現在はお土産として大人気のベトナムの折りたたみ式ランタンへと変わっていきました。
また、ベトナムにとって旧暦の満月の日は、祖先供養を行う大切な日とされており、ランタンを灯して先祖の魂を迎え入れる風習がありました。ベトナムにとっての旧暦14日は、月に一度行うお盆のような行事だったのです。
そして1998年、この伝統的なベトナム風習を観光スポットとして活かすべく、ホイアン観光局が旧暦14日の夜を「ランタン祭り」として町おこしをはじめます。
この町おこしがヒットして、幻想的なランタンの風景を見ようと、世界中からホイアンに観光する人が増えていきました。
ホイアンのランタン祭りは、1998年からスタートしたイベントと比較的新しいものですが、古くから受け継がれてきたベトナムの文化を感じる内容になっており、今ではホイアンを象徴する伝統イベントとして人気を呼んでいます。
ホイアンランタン祭りの見どころ・楽しみ方
ホイアンのランタン祭りと聞くと、街中がランタンで輝き、きらびやかな灯りでカラフルに彩られるイメージを持っている方も多いかなと思います。
実際のランタン祭りの夜の特徴は、美しい静けさと神秘に満ちた幻想的な空間が広がることです。
とくに印象的なのが電気の明かりが消され、月明かりとランタンだけで照らされる特別なひととき。まるで別世界に迷い込んだように、時間がゆっくりと流れるような体験が待っています。
ランタン祭りの当日は、夕方頃から旧市街の街灯やネオンが消されはじめ、街がしっとりとした闇に包まれていきます。
17時頃になると通りは歩行者天国となり、お店の軒先に吊るされたランタンに火が灯り、ロウソクの炎が通りを優しく照らし始めます。
月明かりとランタンが照らす古都の街並みを楽しみながら、ホイアンのランタン祭りを散策するなら、まずはチャンフー通りがおすすめです。
チャンフー通りは、日本橋(来遠橋)からホイアン市場へと東西に伸びる通りで、ランタン祭りの夜に最もにぎわうメインストリートです。
色とりどりのランタンが頭上を埋め尽くしていて、土産物屋やレストラン、カフェが立ち並ぶ賑やかなエリアになっています。
現地の人々と観光客で賑わい、ランタンの光が交差する通りなので、ホイアンらしい活気と伝統があわさった特別な雰囲気が味わえます。
幻想的なトゥボン川での灯籠流しを体験できる!

ホイアンのランタン祭りでぜひ体験したのが、トゥボン川での灯籠流しです。
ランタン祭りの当日は、ホイアンの街中を流れるトゥボン川の水面に無数の小さな灯りが浮かび、幻想的な景色が楽しめることが大きな特徴です。
トゥボン川の灯籠流しは、水面にランタンを浮かべて流すアクティビティです。
灯籠流しはランタン祭りではない日程でも体験できるのですが、お祭りの夜にボートで水面にこぎだして、どこか神聖な雰囲気の中で行う灯籠流しは、ランタン祭りならではの体験です。
灯籠流しを気軽に体験したい方は、川岸からの参加がおすすめです。
ホイアンの旧市街側のトゥボン川沿い、とくにバクダン通りのあたりでは、夕方以降になると地元の子どもや女性たちが紙製の灯籠を販売しています。
価格はおおむね1個1万ドン(約50円)程度で、灯籠にはローソクがセットされており、その場で火を灯してくれます。
灯籠をそっと川面に浮かべると、ゆらゆらと水の流れに乗って遠ざかっていき、願いを乗せた小さな光が水面に広がっていきます。
灯籠流しのもうひとつの楽しみ方は、手漕ぎボートに乗って水上から灯籠を流す体験です。
祭りの夜には無数のランタンを掲げたボートが川に浮かび、船頭たちが観光客を迎えてくれます。料金は1艘あたり10万〜20万ドン(約600〜1200円)が相場で、灯籠代が含まれていることも多く、通常は貸切での案内となります。
川の上から眺めるホイアンの旧市街は、また違う趣があり、両岸に揺れるランタンの光と、水面に浮かぶ灯籠の輝きが360度に広がりる光景はまさに絶景。
自分の手で灯籠を川に流す瞬間は、まさにホイアンだからできる神秘的で感動的な体験となっています。
ボートに乗って行う灯籠流しは、乗船時間は10〜20分ほどです。
普段のホイアンの夜との違いとは?
実は、ホイアンの夜はランタン祭りの日とそれ以外の日とで、雰囲気が大きく異なります。
普段の夜の旧市街は、カラフルなランタンに加えて建物や看板の照明も輝き、町全体が明るく観光ムードに包まれています。
川沿いのレストランやバーからは灯りがあふれ、きらびやかな夜景が楽しめるため、写真映えを狙う旅行者にも人気のスポットです。
一方、ランタン祭りの夜は、人工の照明が落とされて、街はぐっと静かで暗くなります。
普段なら明るく照らされている建物も、ランタン祭りの夜は闇のなかに紛れて、代わりにランタンと月明かりの柔らかな光が街並みを包みます。
パンフレットやガイドブック、SNSで見かけるホイアンの夜景は、ライトアップされた明るい光景が多いのですが、ランタン祭りは落ち着いた暗さがあるので、思っていた光景とのギャップに驚くかもしれません。
普段のホイアンの夜が「にぎやかな光の街」なら、ランタン祭りの夜は「静けさに包まれた淡い光」だったり、失われた時代のようなノスタルジックな光景だったりを楽しめることが魅力です。
そして現代ではとても珍しい、電気のない特別な雰囲気を味わえることが大きなポイントとなっています。
ただ近年は、必ずしも街のなか全ての照明が消されるとは限らず、観光客の増加や安全面への配慮から、一部の街路灯が通常通り点灯しているといった場合もあります。
開催時間帯は夕方から夜遅くまで
ホイアンのランタン祭りは、夕暮れから夜遅くまでゆっくりと楽しめるのが魅力です。
夕方17時頃になると、旧市街の家々や店舗に吊るされたランタンに次々と火が灯され、日没とともに町全体が幻想的な光に包まれていきます。
もっとも雰囲気が盛り上がるのは19時〜21時頃で、月明かりとランタンの灯りが織りなす静かな夜の情景が街に広がります。
ランタン祭りの終了時刻は、明確には設けられていませんが、22時頃にはランタンの灯を消す店舗も増えていき、観光客の姿も少なくなっていきます。
観光客の多い日には、23時頃まで川沿いに屋台が並び、ナイトマーケットも営業を続けている場合もあり。
ただし、地元では深夜の外出を控える人も多いため、旧市街は24時を過ぎるとほぼ真っ暗になります。
そのためランタン祭りの夜を最大限に楽しむなら、遅くとも21~22時頃までにして、余裕を持って帰路につくことがおすすめです。
雨や台風の場合はどうなる?
ホイアンのランタン祭りは、小雨程度であれば通常通り開催されます。
雨季にあたる10月〜12月の祭りでは、傘を差しながら幻想的なランタンの光を楽しむ人々の姿も見られます。
ただし台風や豪雨などの悪天候時には、中止になる可能性があることご注意ください。過去には台風の直撃により、ランタン祭りが完全にキャンセルされた例もあります。
また、強風でボートの運航が危険と判断された場合、灯籠流しのみ中止されることもあります。
ホイアンへのアクセス方法
世界遺産の古都ホイアンの観光は、近隣都市のダナンから行くアクセス方法が一般的です。
日本からはダナンまでは直行便も就航しており、ダナン観光とあわせて日帰りでホイアンを観光するコースが人気です。
ホイアンは最寄りの電車の駅がないので、ダナンから車、タクシーまたはバスで向かうのが基本の行き方です。
タクシーまたは配車アプリ「Grab」を利用すると、所要時間は約40分〜1時間です。
ただし、ホイアン旧市街は車両進入が制限されたエリアが多く、ホイアンのホテルに向かう場合は、ホテルの場所によっては最寄りの車道で下車して、徒歩で移動する必要になることもあります。
また、ダナンの日帰り観光で注意しておきたのは、ホイアンからの帰り道です。
ランタン祭り当日は特に注意が必要で、お祭り終了後の21〜22時頃はタクシーが非常に捕まりにくく、配車アプリも同じく捕まりにくいです。
最も安価に移動できるのが路線バスの利用で、ダナン駅近くからホイアン行きのバスが30分おきに運行しいます。
ただし、車内アナウンスはベトナム語のみ、混雑も予想されるため、基本的にはバックパッカーなど、海外でのローカル旅に慣れた方向けのアクセス方法ではあります。
またバスは終便が早いため、日帰りでランタン祭りを訪れる場合には帰りの足として使えないことが大きな注意点です。
ホイアン祭りは現地ガイドのツアーがおすすめ

ホイアンのランタン祭りは幻想的で感動的な体験なのですが、日帰り観光の大きな問題になるのが「帰りの交通手段」です。
ランタン祭り終了後の時間帯は、基本的にはダナン方面に戻るアクセス方法がありません。タクシー、配車アプリともに捕まえることが難しいことが注意点で、路線バスは終便を迎えています。
夜のホイアンを帰りを気にせず楽しみたい場合は、現地発の日本語ガイド付きツアーがおすすめです。
ダナンから日帰りでホイアンを観光することができ、専用車での往復送迎がセットになっているため、帰りの足を心配する必要もありません。
たとえば人気のツアー「ダナン市内+世界遺産ミーソン遺跡+ホイアン観光」プランなら、日本人のみ参加の混載ツアーで日本語ガイド付き、ダナン市内ホテルから送迎付きと至れり尽くせり。
五行山やミーソン遺跡をめぐった後、ホイアンでは灯籠流し体験付きでランタン祭りをゆっくり満喫できます。
「ホイアンまでは自力で行けそうだけど、帰りが心配」という方は、行き帰りの移動を気にせず、思いっきり幻想的な夜を楽しめるツアーをぜひチェックしてみてください。
ランタン祭り当日の注意点
ランタン祭りの夜には、世界中から観光客が集まり、ホイアン旧市街は大勢の人でごった返します。
そのため、人混みの中ではスリや置き引きが発生しやすくなるため、貴重品の管理には十分注意が必要です。
財布やスマートフォン、パスポートなどは前面のポーチや身体に密着するバッグに入れ、リュックはできれば前に抱えるなどの対策を心がけましょう。
もちろん写真撮影に夢中になって、バッグを足元に置いたままにするのも危険なので控えてください。
ホイアン旧市街は治安の良いエリアではありますが、暗がりではひったくりや酔客とのトラブルに巻き込まれる可能性もゼロではないことにご注意ください。
また、お祭り当日は観光客が多く集まるため、ボッタクリに遭遇する可能性もゼロではありません。
とくに、灯籠流しのボートや三輪自転車タクシー(シクロ)などでは、相場を知らない観光客を狙って高額な料金をふっかけられることがあります。
例えば、灯籠ボートは1艘あたりおおよそ10万〜20万ドン(約600〜1200円)が一般的な目安です。提示された金額が極端に高いと感じた場合は、交渉することは忘れないようにしてください。
まとめ

ホイアンのランタン祭りは、古きよきベトナム文化と歴史が交差する美しい光の観光イベントです。
電灯を落とし、月明かりとランタンだけに照らされた旧市街には、時間がゆっくりと流れるような不思議な感覚が漂います。
ランタン祭りに合わせて訪れるのはもちろん理想的ですが、たとえ日程が合わなくてもホイアンの夜はいつでもロマンチックな美しさに包まれています。
ベトナム旅行に行く際は、ぜひ世界遺産のホイアンで美しい夜のひと時を楽しんでもらえたらと思います。