台北の中心に位置する中正紀念堂(ちゅうせいきねんどう)は、台湾を観光するなら外せないスポットの1つです。
広大な敷地内にある「中正紀念堂」は、台湾の元総統・蒋介石を記念して建てられたもの。周囲は広々とした庭園になっていて、都市の喧騒から少し離れた場所なので、静かな時を過ごすのにもピッタリ。
中正紀念堂の必見スポットといえば、大人気の「衛兵交代式」なのですが、残念なことに衛兵交代式は2024年7月14日をもって廃止となりました。
長年にわたり続けられてきた「衛兵交代式」に代わり、いまでは儀仗隊による屋外行進が名物になっています。
そんな中正紀念堂の見どころや詳細について、人気だった衛兵交代式が廃止になった理由に触れながら、新しい儀仗隊の屋外行進の魅力についてもご紹介したいと思います。
中正紀念堂(ちゅうせいきねんどう)とは
中正紀念堂は、台湾・台北市にある壮大な建物です。台湾の初代総統にして国父とも呼声のたかい蒋介石を追悼して建立されました。台湾の3大観光名所の1つとも呼ばれています。
建設が始まったのは1976年10月31日のこと。この日は享年89歳の蒋介石にとって、90歳の誕生日にあたります。そして中正紀念堂が一般に公開された1980年の「4月5日」は彼の命日。
中正紀念堂の「中正」は蒋介石の本名からとったもの。中正紀念堂はその名前の通り、蒋介石を記念した建物になります。
記念堂は青白い大理石と八角形の屋根が特徴で、中国伝統の宮殿建築を思わせる壮大なスタイル。その高さは70メートルと圧巻の大きさをほこります。
本堂の屋根は八角形になっていて、これは北京の天壇(てんだん:北京の皇帝の廟壇)を模したもの。孫文の提唱した八徳「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」を表現しています。
また堂内に続く正面大階段は3層に分かれているのですが、これも孫文が唱えた三民主義(民族主義・民権主義・民生主義)を表しています。
建物の内部には蒋介石に関する博物館があり、展示室では蒋介石の生い立ちからその生涯と功績について、また台湾の歴史に関する貴重な品々を鑑賞することができます。
中正紀念堂の周囲は大きく開けた広場になっていて、「国家戯劇院」と「国家音楽庁」が隣接しており、少し離れたところから中正紀念堂の全景を眺めると、建物が3つ並んだ山のようにデザインされていることも特徴です。
見どころは蒋介石の銅像
中正紀念堂の内部には、故郷の方角を向いて座る「蒋介石」の銅像が中央に設置されています。銅像の大きさは、高さ6.3メートルと巨大です。
座像は蒋介石の故郷である中国を向いて座っており、彼の心の中にあった母国への愛情を象徴していると言われています。
また蒋介石の銅像をよく観察してみると、彼の表情が優しく微笑んでいることがわかります。
銅像の上に目を向けると、蒋介石の目指した理想的な政治、基本政治理念である「倫理、民主、科学」が記されています。像の土台部分には彼の遺言が刻まれており、またフロアの天井を見上げると、国章「青天白日(せいてんはくじつ)」を見ることができます。
座像のある空間はどこか神聖な雰囲気に満ちています。白亜の大理石で造られた記念堂は、アメリカ・ナショナルモールにあるリンカーン記念堂を意識しているとも言われています。
蒋介石の銅像は衛兵によって警備されていることも特徴で、定刻になると銅像の前で行われる衛兵の交代式は、観光客にとっては見逃せない光景として有名でした。
人気の衛兵交代式
中正紀念堂にある蒋介石の銅像は、陸海空軍から選出された衛兵たちに警護されています。衛兵は銃剣を手に直立不動で蒋介石の護衛にあたります。
衛兵たちは定刻がくると次の担当衛兵と入れ替わり、衛兵の交代にあわせて交代式が行われていました。中正紀念堂の衛兵交代式は、長年にわたって多くの観光客や地元の人々に愛されてきた伝統的な儀式です。
式典は厳粛な雰囲気のなか、精密な動きと完璧なタイミングで行われ、その一糸乱れぬ衛兵たちの静粛な姿をひとめ見ようと、多くの観光客が中正紀念堂を訪れていました。なんと、交代式の数分前には銅像の前にひとだかりができるほど!
衛兵交代式は9時~17時の間に1時間ずつ、毎日きまった時刻に実施されていました。ちなみに衛兵たちがどの軍に所属しているかは、彼らの軍服で見分けることができます。緑なら陸軍。海軍は白または紺色。青なら空軍です。
2024年7月15日から衛兵交代式が廃止
中正紀念堂の名物パフォーマンスとして人気だった衛兵交代式は、残念ながら2024年7月15日に廃止となりました。伝統でもあった蒋介石の銅像前ホールでの衛兵による警護、担当交代の儀式は取りやめとなっています。
衛兵交代式が廃止になった理由は、民主進歩党(民進党)による政権見直しの影響からです。個人崇拝、権威崇拝に通づるという観点を受けての廃止。中正紀念堂が公開されて44年の伝統ある儀式が幕を閉じることになりました。
伝統的な衛兵交代式こそ廃止になりましたが、中正紀念堂を象徴するほど人気だったのが衛兵交代式です。すべてを取りやめにするわけではなく、新しい形として「儀仗隊による屋外行進」を実施することになりました。
なおリニューアルとなった儀仗隊の行進、その記念すべき初日は大勢の人々がつめかけました。
新しく人気に!儀仗隊の屋外行進
中正紀念堂の儀仗隊(ぎじょうたい)による屋外行進は、訓練、パトロール、周囲の安全のためといった名目で実施されます。任務として行進にあたります。
儀仗隊のメンバーは3人1組となり、記念堂の1階にある左右の門から二班にわかれて行進をはじめます。記念堂にそって屋外を移動した儀仗隊はそのまま民主大道に向かって行進します。
旧来の衛兵交代パフォーマンスであれば、そのまま衛兵が直立不動で立哨するのですが、新しくなった儀仗隊の屋外行進では、行進を終えた儀仗隊メンバーは待機室へと戻っていきます。
儀仗隊による屋外行進は、毎日9時~17時まで1時間ごとに実施されます。定刻に実施されるので行進のスケジュールは「9:00、10:00、11:00、12:00、13:00、14:00、15:00、16:00、17:00」です。行進の所要時間は、15分ほどです。屋外ということもあり雨天時は中止となります。
中正紀念堂への行き方
中正紀念堂へのアクセスはとても簡単で、台北MRTの利用が便利です。最寄駅は「中正紀念堂」駅 です。出口から直接記念堂の正門にアクセスできます。
中正紀念堂の観光はツアーが便利
旅行中は1日の時間を効率よく使って、台北の名所をいっきに観光したい!
という方には、台北のプライベートガイドを利用して中正紀念堂を訪れるのもおすすめです。
日本語対応のできるスタッフが中正紀念堂までご案内するので、ホテルから電車に乗る必要もなくスムーズに台北を観光することができます。
帰国日に空港に向かうまえの時間を利用した観光プランもおすすめです。
まとめ
中正紀念堂は壮大な建物と、台湾にとって重要な人物「蒋介石」にゆかりのある重要なスポット。元々は衛兵交代式の場としても人気のあったスポットですが、現在は儀仗隊の屋外行進が新たな魅力として加わっています。
人気を博した衛兵交代式こそ見れなくなりましたが、儀仗隊による行進をお目当てにいまも多くの観光客が訪れています。台北を訪れるなら、ぜひ観光しておきたい欠かせないスポットではあります。
中正紀念堂を訪れる際は、新しい儀仗隊の屋外行進のスケジュールを事前にチェックして、中正紀念堂での素晴らしい一日をお楽しみください!
基本情報
中正紀念堂
住所 | 台北市中山南路21号 |
開館時間 | 9:00~18:00 |
最寄駅 | 台北MRT 中正紀念堂駅 |
儀仗隊の行進 行進時間:15分 | 9:00、10:00、11:00、12:00、13:00、14:00、15:00、16:00、17:00 |