台北にある歴史的名所のなかでも、英霊を祀った場所として有名なのが「忠烈祠」です。
神聖なスポットでもある忠烈祠は、定刻になると始まる衛兵交代式が大人気!統率がいき届き、一糸乱れぬ衛兵たちによる交代セレモニーをひと目見ようと、連日多くの観光客が訪れています。
台北の衛兵交代式といえば、中正紀念堂にある蒋介石の銅像前で行われるパフォーマンスも人気だったのですが、残念なことに中正紀念堂の交代式は2024年7月14日に廃止(儀仗隊の屋外行進に変更)
参考:台北の中正紀念堂の衛兵交代式が廃止。儀仗隊の屋外行進が新たな見どころ!
そんな忠烈祠の詳細と、感動すること間違いなしと大人気の衛兵交代式の魅力についてご紹介したいと思います。
忠烈祠とは?
台北に位置する忠烈祠は、日本の靖国神社に相当する場所で、1969年に建設された台湾の記念施設です。
国民革命や日中戦争、内戦といった戦いを通して、国のために犠牲になった軍人や民間人など、約40万の烈士が祀られています。
忠烈祠は中央政府が所管する唯一の慰霊施設で、中華民国国防部の監督下に置かれています。毎年春と秋には国家元首が訪れ、慰霊祭が執り行われています。
敷地面積は2000平方メートルにおよび、大門と大殿には常に2名ずつの衛兵が配置されています。忠烈祠に祀られた英霊を護衛する衛兵たちは、炎天下のなかでも直立不動を貫いており、基本的には微動だにしません。
忠烈祠にある建物は、北京の故宮にある太和殿を模して作られたものです。
大殿は赤い柱とオレンジ色に輝く屋根が特徴的で、建物の壮麗さは大義のため、自己犠牲をいとわなかった英雄たちの精神を象徴したもの。台湾の山々に囲まれた大地に、誇り高く建てられています。
忠烈祠の大門をくぐると中央広場が広がっており、道は大殿へと続いています。左右にはそれぞれ文烈士祠と武烈士祠があり、武烈士祠には革命や建国のために命を落とした約33万人の志士が祀られています。
大殿の廊下には、中華民国建国以来の重要な戦役を描いた絵が掲げられています。
忠烈祠の読み方
忠烈祠(ちゅうれつし)と紹介されることが多いですが、正式名称は国民革命忠烈祠(こくみんかくめいちゅうれつし)」 です。
1時間ごとに実施!感動の衛兵交代式
忠烈祠の見どころは、感動すること間違いなしの衛兵交代式です。
大門と大殿に配置された衛兵は、1時間ずつ交代で護衛にあたっています。
任務中の衛兵たちは一切動くことなく、瞬きすらも控える直立不動を貫いています。炎天下のなか任務にあたる彼らを気にかけ、時には世話係が衛兵の汗を拭ってあげることもあるそう。
大人気の衛兵交代は、9時から17時の間、毎時ちょうどのタイミングで実施。この時間になると、忠烈祠にいる観光客たちは衛兵たちの周りに集まってきます。
衛兵交代セレモニーが始まると、まずは引率の兵士を含む5人の隊列が大門から大殿に向かって行進を開始!
大殿への道のりには、歴代の衛兵たちによる行進の痕跡が残っていて、彼らの通り道だけ地面の色が異なっています。
銃剣を背負って行進する衛兵たちの息はピッタリ!足音を高々と鳴り響かせ、一糸乱れぬ行進で大殿へと進んでいきます。
隊列が大殿に到着すると、任務に就いていた大殿の衛兵2名が合流します。ここで殿内に向かって敬礼。
衛兵の交代にあたり、銃剣の動作確認を形式化したパフォーマンスを実施。演舞のように銃剣を振り回す衛兵の動きは感動のひとこと!
新しい衛兵が2名が護衛の任務に就くと、他の3名は再び大門へと戻っていきます。
交代セレモニーは約30分ほどです。
衛兵交代式の魅力は、息をのむ力強さ
忠烈祠で毎日行われる衛兵交代式は、精密な動作と完璧なタイミングが求められる軍の神聖な儀式です。
衛兵たちは一切の無駄な動きを排除し、ロボットのように精密な動きでセレモニーを進行していきます。
とくに大殿で行われる銃剣を用いた見事なパフォーマンスは、緊迫した空気がピリピリと周囲にも伝わってきます。
交代の瞬間は衛兵たちの動作が最も力強く、思わず息を呑んで見入ってしまうほど魅力たっぷり!
神聖な式典なので、見守る観光客から拍手はでないものの、真剣に任務にあたる彼らの精悍な姿は、思わず感動してしまうほど迫力満点。
なお式典をすぐ間近で見ることができます。衛兵交代式がはじまる時間になると大門に集まり、衛兵たちの行進を追いかけるように大殿まで付いていく人がほとんどです。
衛兵は陸・海・空軍のエリート選抜イケメンが担当
忠烈祠の衛兵は、陸・海・空軍からの選抜兵が担当しています。どの部隊が衛兵を担当しているかは、彼らの制服で見分けることが可能です。
深緑色なら陸軍、白または黒なら海軍、青色は空軍です。それぞれ半年ごとに担当が交代していきます。
なお、軍から衛兵を志願する人は多いようで、衛兵の任務に就くには厳しい審査を通過する必要があるそう。
軍部からの推薦はもちろん、高学歴、高身長でスマートな体型、そして容姿などの細かい審査を経て、衛兵に抜擢されるという。
夏の猛暑でも長袖長ズボンの軍服に身をつつみ、直立不動で任務にあたる衛兵は、不屈の精神を持ったエリートが担当しているのです。
忠烈祠を訪れる際のマナー
忠烈祠では帽子を脱ぐことが義務付けられています。また露出の多い服装は控えてください。
殿内は禁煙です。
忠烈祠は神聖な場所です。烈士たちへの敬意を示し、忠烈祠の厳かな雰囲気を保つために、マナーを守って訪れるようお願いします。
なお、衛兵交代式をはじめ、忠烈祠での写真撮影は許可されています。
忠烈祠への行き方
忠烈祠へのアクセスは、台北市内から電車とバスの利用が一般的です。
MRTの淡水信義線に乗り、「士林駅」で下車。その後バスに乗り換えます。士林駅からはバスで約10〜15分ほどです。
忠烈祠の観光はツアーの利用が便利
人気の衛兵交代式は見たいけれど、電車とバスでの移動が不安という方は、台北のガイドツアーの利用もおすすめです。
日本語のできるスタッフが忠烈祠までご案内し、ホテルから電車に乗る必要もなくスムーズに観光することができます。
近くにある観光スポット「国立故宮博物院」と合わせて観光するなど、ガイドツアーを利用すれば、バスの時間なども気にせず、台北の人気スポットを効率よく観光することも可能です。
空港に向かう前の空き時間を利用した観光プランも好評です。
周辺の観光スポット
忠烈祠は台北の中心地からみて少し北側に位置しています。
近くの観光スポットとして組み合わせやすいのは、台北の三大夜市にして、最大の夜市でもある士林夜市と、世界でもっとも知名度の高い白菜が展示されている国立故宮博物院です。
まとめ
壮大な建築と大人気の衛兵交代式を見るために、多くの観光客が訪れる忠烈祠は、台湾の英雄たちを追悼して敬う神聖なスポットです。
とくに陸・海・空軍から選抜された兵士が、一時間ごとに交代で務めるこのセレモニーは必見。毎時行われるこの厳粛な儀式は、忠烈祠を象徴する感動のパフォーマンスとなっています。
忠烈祠を訪れる際は、衛兵交代式の時間を確認して、衛兵たちのカッコいい姿をしっかり見届けてもらえたらと思います。
名称 | 忠烈祠 |
住所 | 台北市中山區北安路139號 |
営業時間 | 9:00~17:00 *春と秋の慰霊祭は入場に制限あり |
衛兵交代式 | 毎時ちょうど(悪天候時を除く) 9:00,10:00,11:00,12:00,13:00,14:00,15:00,16:00 |
最寄り駅 | 圓山駅(淡水信義線) |
入場料 | 無料 |