
タイの旧王都でもあるアユタヤは、ユネスコ世界遺産に登録されている壮大な遺跡群が残る歴史都市です。
バンコクから北へ約80km、日帰りで観光できることもあり、アユタヤはタイ旅行には外せない人気スポットの1つとなっています。
アユタヤでの遺跡めぐりは、かつての繁栄を感じる崩落した遺跡をみることができるので、古都タイのノスタルジックな風景を肌で感じられることが魅力です。
もちろんアユタヤの魅力は、寺院めぐりだけでなくエレファントキャンプでの象に乗り体験や、水上マーケットなどアユタヤならではのアクティビティも充実していることも大きなポイントです。
本記事では、そんなアユタヤ観光で絶対に訪れたいスポット10選をご紹介します。
バンコクからの具体的なアクセス方法についてもふれれながら、世界遺産アユタヤの魅力をお伝えしますので、ぜひタイ旅行の計画にお役立てください。
世界遺産アユタヤとは?

アユタヤは1350年にラーマティボーディー1世によって建都され、約400年以上にわたりタイ王朝の首都として繁栄していた古都です。
かつてのアユタヤはチャオプラヤー川を中心とした港国家として栄え、17~18世紀には東南アジア有数の国際都市として発展していました。
当時の人口は数十万人にも達したとされ、海外から訪れた人々はアユタヤの壮麗さを「東洋のベニス」と称えていたとされています。
交易港には日本や中国、ヨーロッパ各国からの商人船がひしめいており、かつてのアユタヤには日本人村があったことも知られています。
1767年に隣国ビルマ軍の侵攻によって宮殿や寺院、仏像の多くが破壊されてアユタヤ王朝は滅亡することとなります。
かつての繁栄を失い遺跡群となったアユタヤは、20世紀に入ってから本格的な修復が進められ、現在は広大な遺跡エリアがアユタヤ歴史公園として整えられています。
1991年にはユネスコの世界遺産「古都アユタヤ」として正式に登録され、悠久の歴史を物語るアユタヤの遺跡の数々は、現在タイの文化遺産として多くの観光客が訪れるスポットとなっています。
アユタヤ観光におすすめの遺跡6選

アユタヤには大小さまざまな寺院遺跡が存在しているのですが、なかでも観光客から人気がたかく、とくに見逃せない寺院が以下の6つです。
- ワット・マハータート:木の根に絡まる有名な仏頭
- ワット・ラーチャブラナ:壮大な中央プラーンのある寺院
- ワット・プラシーサンペット:仏塔が3つ並ぶアユタヤらしい光景
- ワット・ヤイチャイモンコン:仏塔と白い坐仏像
- ワット・チャイワッタナーラム:アユタヤで最も美しい寺院の1つ
- ワット・ローカヤッターラーム:アユタヤの巨大涅槃仏
どの遺跡もタイ・アユタヤならではの景色が楽しめ、初めてアユタヤを観光する方にはとくにおすすめのスポットとなっています。
それではさっそく、それぞれの遺跡について見どころを詳しく見ていきましょう!
ワット・マハータート

ワット・マハータートは、アユタヤを象徴する観光スポットとして有名で、菩提樹の木に絡まっている仏頭がみられる遺跡です。
アユタヤ王朝初期の13世紀に建立された寺院でもあるワット・マハータートは、かつては王室にとって重要な宗教施設でしたが、ビルマ軍との戦争によって廃墟と化しました。
かつては高さ40メートルを超える仏塔が存在し、塔の頂上が黄金に輝いていたといわれていますが、ビルマ軍によるアユタヤ陥落時に大きな被害を受け、現在は土台や多数の仏像の残骸が残るのみとなっています。

ワット・マハータートの最大の見どころは、菩提樹の根に自然と取り込まれた仏頭です。
この仏頭は1600年代中頃に胴体から地面に落ち、その後、菩提樹の成長によって自然に根に取り込まれていきました。
奇跡の仏頭とも呼び声が高く、アユタヤを象徴する神秘的なスポットとして世界中から多くの観光客が訪れています。
なお仏頭と記念撮影する場合は、自分の頭が仏頭より高くならないように、かがんで写真を撮ることがここでのたしなみ。
クメール様式の影響を受けた仏塔も遺跡の重要な特徴の1つで、ワット・マハータートの遺跡群に足を踏み入れば、アユタヤ王朝の名残が感じられるノスタルジックな光景と出会うことができます。
ワット・マハタートと菩提樹に挟まる仏頭は、ガイドブックをはじめアユタヤ観光では必ずといっていいほど紹介される有名スポットです。
アユタヤを訪れる際は、ぜひワット・マハータートで悠々のアユタヤの風景を楽しみながら、仏頭の奇跡的な光景をチェックしてみてください。
ワット・ラーチャブラナ
ワット・ラーチャブラナは、王位継承をめぐる争いで亡くなった兄弟の冥福を祈るために建立された寺院です。
寺院は仏頭のあるワット・マハータートの北側に位置しており、8代王ボーロマラーチャ2世によって1424年に健立されました。
ワット・ラーチャブラナの見どころは、遺跡の中央にあるプラーンと呼ばれるクメール様式の巨大な仏塔です。外壁に施された精巧なレリーフに、赤茶色でくすみのあるレンガ造りの建造物は、古都アユタヤらしい独特なデザイン。
1950年代の修復に際して多数の財宝や壁画が発見され、発掘された金品はチャオ・サン・プラヤー国立博物館に展示されています。
大仏塔は内部を観光することもでき、塔内の急な階段を下りていくと、タイ最古ともいわれる当時の壁画の一部を目にすることもできます。
歴史のロマンあふれるエピソードとともに、遺跡の壮麗さを感じられるスポットです。
ワット・プラシーサンペット

ワット・プラシーサンペットは、3人の王が眠る遺跡で、かつてのアユタヤ王室の守護寺院です。
ボロムトライロッカナート王の時代だった1448年に健立された寺院で、アユタヤ王宮の敷地内に位置するアユタヤで最も重要な寺院でした。
建立当時は巨大な黄金仏が本堂に祀られ、王朝の栄華を象徴していましたが、ビルマ軍侵攻で仏像は破壊されました。
現在はトライローカナート王とその王子2人の遺骨が収められた3つの仏塔が残るのみで、本堂をはじめ寺院の多くが破壊の傷跡が残る廃墟遺跡となっています。

ワット・プラシーサンペットの見どころは、イロン様式で作られた三つの仏塔がならぶ光景です。この光景はアユタヤ遺跡を代表する風景の1つとしても有名です。
日没後にはワット・プラシーサンペットのライトアップも行われ、幻想的に浮かび上がる夜の遺跡も必見です。
暗闇に黄金に輝くように光るワット・プラシーサンペットの姿は、かつてのアユタヤ王朝の幻を見るように美しい夜景となっています。
ワット・ヤイチャイモンコン

ワット・ヤイチャイモンコンは、1357年に初代王ラーマーティボーディー1世によって建立された寺院。アユタヤ駅の南東の郊外に位置しています。
ワット・ヤイ・チャイモンコンという寺院の名前には、大きな勝利の吉兆という意味があり、その名前がしめす通り、敷地内には1592年にビルマとの戦いに勝利した記念として高さ72メートルの巨大な仏塔が建てられています。
中央に位置している戦勝記念の大仏塔は、急な大階段の途中まで登ることができ、上から遺跡と周囲の景色を一望することができます。
境内にはオレンジの袈裟をまとった座仏像が並んでおり、白い仏像がずらりと並ぶ光景も見どころ。神聖は雰囲気もたっぷりです。
さらに長さ7メートルほどの涅槃仏が安置されていることもポイントで、多くの参拝者が敬虔な思いで手を合わせています。歴史的価値と美観を兼ね備えたおすすめスポットです。
ワット・チャイワッタナーラム

チャオプラヤ川の西側に位置するワット・チャイワッタナーラムは、アユタヤで最も美しいともいわれる寺院遺跡です。
1630年に第24代王プラサートトーン王が母親の供養のために建立したと伝えられています。
寺院遺跡の敷地内には、高さ35メートルの中央プラーンがそびえ、その周囲を囲むように多数の小塔や回廊が配置されています。
左右で対称的な寺院のレイアウトは、カンボジアのアンコール・ワットに似ており、そのため一説としてカンボジアとの戦争での勝利を記念して建てた寺院ではないかとの見解もあります。

見どころは広大な敷地内にある塔堂と、寺院の周りをぐるりと囲んでいる遺跡回廊です。
アユタヤのサンセットスポットとしても人気が高く、日没時にはオレンジ色に染まる遺跡を目に焼き付けようと多くの観光客が訪れます。

茜色に染まる夕暮れのワット・チャイワッタナーラムは、昼間とは異なる幻想的な景色を楽しめる点でも必見です。
またワット・チャイワッタナーラムのすぐ近くでは、タイの民族衣装をレンタルできる露店が出ているので、伝統衣装をレンタルすれば世界遺産アユタヤ遺跡を背景に、タイならではの写真を撮ることもできます。
ワット・ローカヤッターラーム

広大な空き地に巨大な寝仏が横たわる、異色のスポットといえばワット・ローカヤスッターラームです。
崩落して瓦礫だらけの寺院跡には、かつての寺院の姿はなく現在は全長約28メートルにも及ぶ涅槃仏のみ残されています。
仏像はアユタヤ中期のものとされ、1767年のビルマ軍の進行により大部分が破損しています。そのため現在の姿は、1956年に復元されたものとなっています。
頭部までの高さは5メートルほどあり、穏やかで優しい表情をたたえた寝仏は、80歳で入滅した釈迦を表現したものと伝えられます。
青空の下に真っ白な仏像が横たわる様子は独特な光景なので、記念撮影スポットとしても人気です。
アユタヤで行きたい観光スポット4選
アユタヤ観光の醍醐味は、もちろん世界遺産を見て回る遺跡めぐりだけではありません。
アユタヤ歴史公園の周辺では、タイならではのユニークな体験ができるスポットがいくつかあることも大きなポイントです。
ここでは、アユタヤ観光でとくに人気の高いアクティビティや景観スポットを4つご紹介します。
アユタヤ エレファントキャンプで象乗り体験

アユタヤの遺跡エリアで象に乗れる貴重な体験ができるのが、アユタヤ・エレファントキャンプです。
エレファントキャンプは、アユタヤ歴史公園の近くにあり、熟練の象使いとともに象の背中に乗って周囲の街並みをゆったり観光することができます。
アユタヤの象乗り体験は、市街地の道路をゆっくりと歩いたり、遺跡が近くにみえる光景を歩ることが特徴です。
高さ約3メートルの象の背から遺跡群を見渡せば、普段とは違った視点から寺院のある景色を楽しむことができます。
象はかつて王族の威厳や権力の象徴でもあった生き物です。まるで王族になったかのような気分を体感できることも、タイのエレファントライドならではの非日常体験です。
アユタヤのエレファントライドは、15分程度のコースが基本で、象のエサやりや一緒に写真撮影といった触れ合い体験も可能です。
アユタヤでの象乗り体験は、現地のエレファントキャンプで直接お申し込みもできますが、アユタヤ遺跡の観光とセットになったバンコク発着の現地ツアーを利用することでも参加できます。
カップル旅行や女子旅はもちろん、小さなお子様連れのファミリーにも人気が高く、アユタヤ旅行の思い出づくりにピッタリなので、ぜひ挑戦してみてください。
アユヤタのサンセット
歴史ある遺跡が夕日に照らされる光景は、アユタヤでも格別に美しい景色の1つです。
日没前後の時間帯には赤く染まった空を背景にシルエットとなった仏塔や寺院が浮かび上がり、思わず息を呑む美しさ。
先述のワット・チャイワッタナーラムはサンセット鑑賞の定番スポットで、川沿いの開放的な立地から暮れなずむ空と遺跡を同時に眺められます。その他にもワット・プラシーサンペット周辺や、チャオプラヤー川に面したレストランのテラス席なども夕景ポイントとして知られています。日中に歩き回って疲れていても、ぜひ夕暮れ時まで粘ってみてください。黄金色に染まるアユタヤ遺跡の姿は、その日の締めくくりに相応しい感動的な光景となるでしょう。
アユタヤ歴史地区のライトアップ
もしアユタヤの観光スケジュールに余裕があれば、日没後に歴史地区のライトアップされた夜景を楽しむこともおすすめです。
アユタヤにある寺院遺跡のいくつかは、夜間になると照明が当てられて、昼間とは異なる神秘的な姿を見ることができます。
例えばワット・ラーチャブラナでは、遺跡の輪郭が闇夜のなかに淡い光を帯びて浮かび上がり、静けさのある幻想的な雰囲気が楽しめます。
ワット・プラシーサンペットにある3基の仏塔も美しくライトアップされ、闇夜に浮かぶ姿はかつて栄華した王都の姿を彷彿とさせるように輝いています。
夜間のアユタヤは観光客もぐっと減るので、遺跡本来の静寂を味わえることも夜ならではの魅力です。
アユタヤ 水上マーケット

アユタヤで遺跡めぐりと合わせて、タイの伝統文化や買い物を楽しみたいなら、「アユタヤ水上マーケット」がおすすめです。
アユタヤの水上マーケットは、2010年にオープンしたばかりの比較的新しい観光スポットで、アユタヤ王朝時代の水上交易の様子を再現した観光客むけのマーケットとなっています。
整備された水辺には小舟が浮かび、野菜や果物、土産物などを売る様子が見られ、まるで昔の市場にタイムスリップしたかのような雰囲気もたっぷり!
お腹が空いたら屋台で地元のB級グルメを楽しんだり、工芸品のお土産をじっくり選んだりと、ゆったり散策しながら観光が楽しめます。
観光に配慮した水上マーケットなので、衛生面がしっかりしていることも大きなポイントです。
遺跡観光とはひと味違うアユタヤの魅力に触れられるスポットとして人気上昇中です。
アユタヤの行き方
バンコク市内からアユタヤ歴史公園までは、約80kmの距離です。
バンコクからアユタヤまでは車またはバスを利用して、1時間30〜2時間ほどで移動できるので、バンコクからの日帰り旅行先としても人気です。
アユタヤまでの移動方法は、大きくわけて電車、バス、タクシー、現地ツアーの4つです。
鉄道・電車で行く

バンコクから電車でアユタヤに行く方法は、クルンテープ・アピワット中央駅またはフワランポーン駅から列車に乗り、アユタヤ駅で下車します。
電車でのアユタヤまでの移動時間は、1時間半~2時間ほどです。
電車での移動は、車窓からタイの田園風景を眺めつつローカルな旅を楽しめることが魅力です。
料金は乗車する鉄道によって異なりますが、最安の座席クラスだと15バーツでアユタヤまで移動できます。
ただし、本数や座席に限りがあるため、混雑時は立ちっぱなしになる可能性があることが注意点。
またタイの電車は混雑時は遅れることも多いので、想定よりも到着に時間がかかることもあります。
アユタヤ駅に到着したら、現地のトゥクトゥクをタクシー代わりに利用して、遺跡エリアへ移動です。
バス / ミニバンでアユタヤに行く
バンコク北バスターミナル(モーチット2)からアユタヤ行きのバスや乗合バンが出ています。
所要時間は道路事情にもよりますが約1~1.5時間ほどです。
料金はバスで50バーツ前後、ミニバンで70~100バーツ程度です。
ミニバンは比較的スピーディーで本数も多く便利なのですが、タイ語でのコミュニケーションが必要になり、車内空間が狭いのでアユタヤにキャリーケースを持って移動するなど、荷物が多いと窮屈に感じることもあります。
タクシー / 専用車
アユタヤまで快適に移動したいならタクシーの利用が便利です。
バンコク市内からアユタヤまでは、タクシーを利用して約1時間ほどで到着します。
料金は片道約1,500~2,000バーツが目安ですが、往復チャーターを依頼すれば場合によっては1日あたり3,000バーツ前後でアユタヤの主な観光スポットを回ってもらうことも可能です。
現地ツアーに参加

バンコクから日帰りでアユタヤを観光するなら、バンコク発着のアユタヤ日帰りオプショナルツアーに参加する方法もあります。
アユタヤまで専用車で人気スポットをめぐりながら案内してくれるので、タイ語を使って移動するストレスや心配もなく、アユタヤ観光が楽しめます。
アユタヤ観光はバンコクからの移動よりも、遺跡が点在しているためアユタヤに到着してからの移動が大変です。
徒歩でアユタヤの遺跡群をまわるには移動範囲が広すぎるため、アユタヤ観光は地元タイ人のトゥクトゥクを利用しての移動が必要になります。
日帰り観光を利用すれば、象乗り体験や水上マーケット訪問、郊外のバーンパイン宮殿なども含めて、バンコクからの移動とアユタヤの人気スポットめぐりがセットになっています。
自力での移動に不安がある場合や、日本語ガイドの解説を聞きながら効率よく巡りたい場合など、限られたタイ旅行の時間と充実度を優先したい方はぜひチェックしてみてください。
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さいごに

古都アユタヤは、悠久の歴史と壮麗な遺跡群を通して深い感動を楽しめるタイの特別なスポットです。
バンコク近郊にありながら、一歩足を踏み入れれば数百年前の王朝時代にタイムスリップしたかのような非日常的な風景が待っています。
数々の寺院遺跡をめぐり、象に乗り、大地に沈む夕日に照らされた仏塔、そして闇夜に輝く遺跡を眺めるなど、ぜひアユタヤならではの光景を楽しんでみてください。