ノートルダム大聖堂といえば、記憶にまだ新しい2019年4月の大火災。ノートルダム大聖堂を襲った悲劇の火災は、フランスだけでなく世界を驚かせるニュースとなりました。
パリのシンボルでもあるノートルダム大聖堂が火災に見舞われ、約5年の歳月を経た2024年12月18日に待望の観光が再開になりました。
パリ観光には欠かせないノートルダム大聖堂について、大聖堂の歴史から火災にいたった原因、観光するならぜひ見てほしい注目スポットについてを本記事でご紹介します。
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パリのセーヌ川・シテ島にあるノートルダム大聖堂
ノートルダム大聖堂は、パリのシテ島にあるローマ・カトリック教会の大聖堂です。
ノートルダム大聖堂(Cathédrale Notre-Dame de Paris)という名称は、フランス語で「われらが貴婦人=聖母マリア」を意味しており、ゴシック建築の代表的な建物です。
1991年に周辺の文化遺産と共にユネスコ世界遺産に登録され、フランスを観光するなら一度は見たい建築の1つとして知られています。
フランスのゴシック建築の代表といえば、パリのノートルダムを思い浮かべる方も多いはず。
そんなノートルダム大聖堂のあるシテ島は、パリのほぼ真ん中に位置し、地下鉄(メトロ)4番線シテ駅が最寄駅。
シテ島はパリの中心を流れるセーヌ川の中洲にある小さい島で、シテ島駅はシテ島内にあるただ一つの駅です。
シテ島にはノートルダム大聖堂のほかに、サント・シャペル教会やコンシェルジュリーなど見どころが多く、魅力あふれる観光名所としても知られ、パリの昔ながらの風景を楽しめる場所でもあります。
ノートルダム大聖堂の歴史
ノートルダム大聖堂の歴史はかなり古く、1160年ルイ12世の治世の下、モーリス・ド・シュリー司教が聖母マリアを祀る聖堂を建てる計画から始まります。
国王、国民、教会の賛同を得て、1163年に着工となったノートルダム大聖堂は、長い年月をかけてカペー朝のルイ9世の時代1245年~1250年ごろに完成したとされています。
12世紀末から13世紀前半にかけて西洋最大のカトリック教会とされましたが、最終的に5年前の火災以前の形になったのは、後の1345年ごろとされています。
1804年にナポレオンの戴冠式が行われたことでも有名です。戴冠式の様子が描かれた作品はルーブル美術館とヴェルサイユ宮殿に飾られているので併せて見学するのもいいですね。
ノートルダム大聖堂の見どころ
大きな先頭が2つそびるパリ・ノートルダム大聖堂は、全長128m、幅48m、高さ91mと圧巻のスケールと重厚感が魅力のフランスを代表する建築です。
そんなノートルダム大聖堂は圧巻の外観はもちろんのこと、内装から外装にいたるまで見どころがたくさん詰まっていることがポイントです。
大聖堂ファサード
ノートルダム大聖堂は建物に入る前から、見どころが点在していることが特徴です。
まず正面向かって左側に、聖母マリアの聖母被昇天、中側には聖母マリアが地上での一生を終える場面、上段でキリストから祝福を受けている聖母マリアが鎮座している姿をみることができます。
キリストや聖人や天使が描かれているので、大聖堂に入る前にまずは楽しみながら探してみてください。
ノートルダム大聖堂はゴシック様式の代表的建築ですが、ファサード(建物正面)の装飾彫刻は19世紀に大幅に改修されました。
着工した1163年は、世の中の主流はロマネスク様式だったため、ファサードの一部にはロマネスク建築が見られるところが建築好き、歴史好きにはおもしろい点です。
具体的には、大聖堂の正面に向かって右側のポルタイユ(入口)にロマネスク様式的な痕跡が残っています。
ロマネスク様式といえば、石材でできた半円アーチなどが特徴で、ゴシック様式はとがったアーチ(ポインテッド・アーチ)も特徴です。
ノートルダムの右側ポルタイユには、半円アーチをポインテッド・アーチに改造した跡があります。
大聖堂の内部にもいくつかロマネスクの特徴を残した建築が見られるので、ノートルダム大聖堂はまさにロマネスク様式を残したゴシック建築の傑作で、長年かけて完成させた時代と歴史を感じられる建物です。
大聖堂内部のステンドグラス「バラの窓」
ノートルダム大聖堂の内部で必見なのは、とりわけ日本人に大人気のバラ窓です。
とくに晴れた日にノートルダム大聖堂を訪れると、日の光が差し込み、ステンドグラスの色が反射し、回廊を歩くとまるで虹の中を歩いているように美しい世界感に包まれます。
地面に映し出された色鮮やかなステンドグラスも神秘的な美しさです。
ステンドグラス「バラの窓」は、風雨に長期間さらされ掃除されることなく、輝きは失ってしまった大聖堂を見かねたルイ15世が手を加えた逸話も有名です。
ルイ15世はステンドグラスの一部を破壊し、白めの明るいステンドグラスに取り替えました。南翼廊(みなみよくろう)のバラ窓は最も保存状態の良いステンドグラスとされています。
火災が発生した時は、熱に弱いステンドグラスが溶けてしまうのではないかと非常に心配されたのですが、奇跡的にも運よくステンドグラス、そして大聖堂内の壁画も無事でした。
火災にも耐えたステンドグラスは、火災以前よりも壮大に感じられることと思います。
季節によって大聖堂の周辺が変化
春になると大聖堂裏の小さな庭が美しく、大聖堂横の桜の木もフォトスポットです。
夏は木々が青々とし、正面からの建築の壮大さのみならず、からのセーヌから大聖堂をバックに木々と一緒に写真におさめたり、大聖堂後ろ側からでも絵になります。
秋は気候がよく、ノートルダム大聖堂の前の広場で、おいしいパンをかじりながら眺めたりできます。
季節ごとに違った顔をみせてくれるノートルダムですが、冬に訪れるなら是非クリスマスシーズンの12月に行ってみてください。
毎年12月1週目あたりに、大きなクリスマスツリーが大聖堂の前に飾られ、観光客やパリの人々を喜ばせてくれます。
聖堂内では、どの教会よりもひときわ大きく立派なクレッシュが飾られ見る価値があります。
クレッシュとは、キリストの誕生を再現した模型のことです。
24日のクリスマスイヴまでは、ゆりかごの中は空っぽですが、25日に行ってみると、キリストがゆりかごに眠っている姿を見ることができ、連続で見に行くのも面白いですね。
ただ、25日午前0時にミサが行われるため、ヨーロッパ中から人が訪れ、クリスマスイヴの夜になると何時間も並ばないと中には入れないので要注意。
尖塔と十字架
正面のファサード、内部のバラ窓、そしてもう一つの見どころはやはり、5年前の火災で崩れ落ちた尖塔と十字架ではないでしょうか。
尖塔と十字架は、2024年12月の一般公開にむけ急ピッチですすめられた修復作業のなか、2024年5月に地元の人に見守られながら無事取り付け完了。拍手が巻き起こりました。
高さ40mの位置に飾られていた12mの十字架の修復は、ノートルダム大聖堂の復活を象徴するできごととして日本の各種メディアでも大きく取り上げられました。
ノートルダム大聖堂の大火災
そもそも、なぜ火災が起こったの?事故なの?事件なの?いつのこと?
なんて感じている人も多いかもしれませんね。
2019年4月15日、18時半前後、火災警報が鳴ったのですが、この時は火は確認できず、数分後2回目の火災警報が鳴りました。
そこから10分後に火が燃え上がりました。
なぜ火のないところに?と思う人も多かったでしょう。
ニュースで流れたときは火災の大きさばかりが報道され、はっきりとした原因はわからないままになり、記憶にあるのはノートルダム大聖堂が燃えたということだけ。
実は火災が発生した当時、大聖堂の内部に人がいました。
大聖堂の天井の改修工事を行うために、建設作業員が作業をしていたのです。作業は18時には終えていたといわれています。
いったい何が大火災の原因だったのでしょうか?
結論からいうと、原因については未解決のままとなっています。
警察当局の見立てとしては、天井の改修工事をするために、大聖堂内には足場が組まれ、エレベーターが3基設置されていたので、そのうちの1基の電気回路がショートを起こした可能性をあげています。
ただし、燃えて崩れ落ちた尖塔とエレベーターは離れており、火災が起きたのは建物内だったことから、別の原因が疑われました。
疑われたのは、作業員の喫煙です。
ノートルダム大聖堂の大火災は、喫煙が原因だったのではともいわれています。
その理由は、禁煙とされていた火災発生現場から、7本の吸い殻が発見されたからです。
改修をおこなっていた作業員は警察に対し喫煙を認めたものの、足場の施工を請け負った業者は、火災は喫煙によるものではないと否定しました。
フランスのニュースでは電気回線の不具合ではないか、という報道のほうが有力ではないかと言われており、フランス国民も半数以上が過失によるものだという見解を示しています。
なにはともあれ、歴史ある建造物が失われた国民の悲しみは大きく、マクロン大統領もその中のひとりです。
ノートルダム大聖堂の再開については、当初パリオリンピック2024までに間に合うように再建するとの目標がありましたが、残念ながらオリンピックには間に合いませんでした。
とはいえ修復は順調にすすみ尖塔も無事に設置され、マクロン大統領の呼びかけで、寄付金集めやフランス人全員が参加するプロジェクトの立ち上げもあり、火災から5年経った2024年の12月に一般公開となりました。
長い年月をかけてつくられた大聖堂のことを思うと、なんともすごいスピードでの修復です。
ノートルダム大聖堂の修復と現在
いったいノートルダム大聖堂の現在はどういう状況なの?
と日本に住んでいると、遠くフランス・パリ現地の様子が気になるかもしれません。
日本では火災発生時は報道されたものの、それ以来ほぼ報道されることがないので、進捗状況がつかめないことでしょう。
実際、大きく崩れ落ちたのは尖塔ですが、その周辺の崩壊の危険性のある部分も修復しなければならず、数十年の修復時間が必要ではないかと懸念されていました。
ところが、現代技術を駆使し、ロボットで遠隔操作をおこなったり、石材のひびを埋めるために特殊なものを使用したり、3Dモデルを使ったりしたことで、5年という驚異的な年月で修復できるようになりました。
フランスでは、「8つの鐘が取り付けられました」「尖塔が設置されました」と、ことあるごとにニュースにそれらの映像が流れていました。
それくらいフランス国民にとっては、ノートルダム大聖堂が身近な存在であり、フランスの誇りでもあるのでしょう。
一般公開に先立って、11月にはノートルダム大聖堂前広場で7日間ミサも行われ、再開モードも包まれました。
パリは世界でもトップクラスに人気の観光地で、エッフェル塔、シャンゼリゼ通り、凱旋門・・・と2024年末から2025年にかけては「ノートルダムの年」となり、これまで以上にオーバーツーリズムが懸念されるところです。
火災前までは年間1200万人がノートルダムを訪れていました。
とくにクリスマスシーズンは多くの人が押し寄せ、かの有名なルーブル美術館を押しのけ、訪問数第1位がノートルダム大聖堂なのです。
ノートルダム大聖堂は2024年12月16日より再開して通常営業
ノートルダム大聖堂は、2019年4月の火災から約5年半を経て、2024年12月8日に一般公開が再開となりました。
12月7日と8日に特別な式典が実施され、一般の観光は2024年12月16日より再開しています。
ノートルダム大聖堂は、エッフェル塔や凱旋門とは異なり、入場料なしなので、混雑をいなめません。
観光ができる時間帯は、平日8 :00から18 :45、週末は19 :45までとされています。
観光時間:2024年12月16日〜
2024年12月16日(月)より、 ノートルダム大聖堂は通常営業を再開しています
【営業時間】年中無休
月曜日~金曜日:午前7時45分~午後19時
土曜日・日曜日:午前8時15分~午後19時30分
※木曜日は午後22時まで
※最終入場は閉場の30分前となります。
※大聖堂の入場は無料
※宝物庫と地下遺跡は有料
ノートルダム大聖堂の入場と予約方法
ノートルダム大聖堂の予約は必須ではありませんが、再開後しばらくは混雑が予想されるため、事前のご予約がおすすめです。
予約は公式サイトおよび公式アプリから行うことが可能です。
予約URL(公式アプリからも予約が可能です)
https://resa.notredamedeparis.fr/en/reservationindividuelle/tickets
公式アプリ 「Notre-Dame de Paris」
Android / iPhone
予約希望日の2日前から当日まで予約が可能です。
予約が完了すると、デジタルチケットがメールで送信されます。
もしアプリでの予約に不安がある場合や、確実にノートルダム大聖堂を予約したい場合は、ガイドプランを利用しての予約もおすすめです。
フランス在住20年のガイドが、ノートルダム大聖堂に並ばずに観光できるよう、代行予約に対応しています。
\予約プランを確認/
大聖堂をふくめたパリ市内のツアーを利用することでも、ノートルダムを観光することが可能です。
\パリ観光プランを確認/
ノートルダム大聖堂の観光は混雑が予想され、直前では予約が取れない可能性もあるので、パリを観光される方は早めのスケジュール計画と、早めのご相談がおすすめです。
ノートルダム大聖堂への行き方
ノートルダム大聖堂はパリのほぼ真ん中に位置します。パリ4区のシテ島の中にあり、行き方は地下鉄メトロ4番線のシテ駅(Cité)が最寄り駅です。
降りるとすぐ、警察署とオテル=デュー病院があり、病院の斜め前がノートルダム大聖堂です。
世界遺産に登録されているほどですので、案内の記載があり迷わず行けるでしょう。改札から地上に上がれば、花市が開催されておりパリらしい風景を見ることができます。
花市はナポレオン・ボナパルトの活躍した1808年から開設されており大変歴史ある市場です。駅から大聖堂までは5分ほどですが、花市をゆっくり見てから行くのもおすすめです。
地下鉄以外ですと、RER線のサン・ミッシェル・ノートルダム駅が最も近い駅となります。
こちらはシテ島の外にあるので、地下鉄シテ駅よりは少し離れますが、降りてすぐセーヌ川が見えたら、川沿いに向かってみてください。ノートルダム大聖堂は一目でわかります。
先ほど、パリのほぼ真ん中に位置すると述べましたが、実際その証拠に、ノートルダム大聖堂の正面の石畳にzero pointと書かれたプレートがありますので、是非訪れる際は探してみてください。
よく地図や観光本に「パリから〇キロ」などの距離が書かれているのを見たことがあると思います。パリからの距離というのは、まさにノートルダム大聖堂を拠点にした距離なんです。
見どころ満載のノートルダム大聖堂を見学して疲れたら、シテ島内のブーランジュリーでパリジャンのようにバゲットを片手に散歩するもよし、有名アイスクリーム店ベルティヨンでアイスを買ってセーヌ沿いに座って食べるもよし、楽しみ方いろいろです。
さいごに
ノートルダム大聖堂以外にも、パリにはエッフェル塔をはじめ、ルーブル美術館やベルサイユ宮殿といった数々の観光スポットがあります。
BUYMA TRAVEL にはパリ在住の信頼できる日本語ガイドに登録いただいており、今回のノートルダム大聖堂の予約手配の相談や、移動の手配までサポートいたします。
それら全てを回りたいという希望があれば、直接メッセージのやりとりをさせていただきながらスケジュールを立て、現地で通訳も兼ねながら一緒にご案内することも可能です。
ぜひ気兼ねなくお問い合わせくださいね。